『ルート66の旅』 15 / 15

シカゴを出る際は、12日間、、、先は長いな、、、 
気がつくと66号線の終点は、もうすぐそば。 
ルーミッチェルズで食べたデンバーオムレツの記憶も 遥か彼方です。 

- - - - - - -   バーストゥー    - - - - - - -

バーストゥーの町を抜ける66号線は、かれこれ25年間、何も変わっていません。 その66号線沿いには、小さなモーテルが数件、今も営業していて、当時の賑わいを思い起こさせます。 そのメインストリートを15分も走ると、寂れたデザートの1本道。 1830年後期、モルモン教徒の布教から町が出来上がり、当時は秋から春にかけて降る雨により 美しい緑に囲まれていたそうですが、現在は気候変動により雨がほとんど降らず、日々砂漠化して 風景全体がメリハリのない灰色に見えます。


- - - - - - -   オログランデ    - - - - - - -



波打つアップダウンの道を抜け30分ほど走ると、右手に”エルマーズ・ボトルランチ”が現れます。 エルマーさんは独創的なスクラップマテリアル(雑品)アーティストです。  敷地内に立てられた200本を超える金属パイプで作られた枝に数え切れないボトルが括られています。 エルマーさん家族は1946年に家族と一緒にカリフォルニアのデザートに引っ越してきました。 父親は常に古い瓶の収集家でした。 エルマーさんはそれを継承し追加し続け ”ボトル・ランチ” は66号線の旅人にとって有名なポイントとなりました。

少し前までは、ゲートがオープンされていて自由に観覧することができましたが、 2019年6月22日にエルマーさんが亡くなってからは閉鎖されています。(今まで楽しませていただきました。ありがとう。ご冥福をお祈りいたします) 

ビクタービルを抜けると、いったん66号線がインターステート15号線に代わります。 この辺から、カリフォルニアの慌ただしい車の流れに乗らなくてはなりません。しばらく走ると、大きく開けた急勾配の下り道が現れ、遠くに連なる大きな山脈 ”シエラネバタ山脈” が見えます。

66号線のお話からはそれますが シエラネバタ に関する興味深いお話がありますのでご紹介します。

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オールド・スパニッシュ・トレール

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1849年、カリフォルニアのゴールドラッシュに湧くアメリカで開拓者の大部分がより良い生活を求めカリフォルニアを目指しました。 当時のルートはサンタフェからロサンゼルスへ続くオールド・スパニッシュ・トレールと呼ばれる通商路でした。

その供給ポイントの1つであるユタ州のソルトレークを経由して、カリフォルニアの手前にある高く険しいシエラ山脈を越える前に、広大な未知の砂漠である盆地を開拓者達は通り抜けなければなりません。

カリフォルニアを目指す、ジェファーソン大尉の幌馬車隊のグループが10月のソルトレークに到着した時、ある2年前の事件が思い起こされました。

ドンナーが率いる開拓者のグループがソルトレークから遅れて出発し、嵐にあい遭難。

ジェファーソン大尉は思いました。「シエラ山脈に雪が降る前に渡りきらなければならい、彼らは安全に山脈を渡るにはあまりにも遅かった。」

だが、ジェファーソン大尉は冬の南端シエラ山脈を抜けるのが最も安全であると聞かされる。 そして唯一の問題はワゴン隊を安全に導くことができる者は町にいる開拓者の1人だけしかいなかった事です。

そうして120台ものワゴンのグループ一行はカリフォルニアを目指し、進行の早いグループ、そして遅いグループにジェファーソン大尉がついて進みました。

はじめの2週間は容易に進んだのですが、ネバタとカリフォルニアの州堺にある ビーバーダム(ユタ州とネバタ州の堺)と呼ばれる急勾配の峡谷に阻まれてしまいます。  100台のワゴンは落胆して、ジェファーソン大尉のもとへ引き返し、20台のワゴンは強硬に進みました。 なんとかビーバーダムを抜けた先頭グループはネバタ 州のデザートへ進みました。 乾いた原野が広がるネバタ南部では水を見つける事が最も重要でした。一行は運良く湖を見つけます。 そしてその先、どちらへ進むか 協議されそのまま西へ進むグループ、飲料水を求めながら南へ進むグループ2つに別れました。

その後、両グループは飲料水となる水源を見つけることができず、脱水症状で生命の危機に迫られてしまいます。 しかし、まれに見る大雪が降り、死を免れたのです。

出発から2ヶ月半、クリスマスイブにデスバレーのファーニスクリークそばに到着。 これが7、8月の夏であれば全員がひからびてしまっていたでしょう。

しかしながら、ほとんどのワゴンは傷み使い物にならなかった。 旅を続けるために雄牛を料理し、ワゴンを燃やしジャーキー(薫製)にして、歩いて山脈を渡りカリフォルニアへ渡ったそうです。  西部開拓時代、過酷な状況の中で人々は新天地を目指したんですね。

 

66号線に戻ります。 シエラネバタの急勾配を下り、再び66号線へ降ります。 インターステートの慌ただしさとは対照的に、のどかな田舎道に早変わりします。 渓谷に沿って66号線が続き、その向こうにサンタフェ鉄道が走っています。 ここは当時の66号線を思わせる最後のポイントです。 そこからしばらくは路面にプリントされた66のサインを目印に進行できますが、サンバーナディーノ手前で ”Foothill Blvd” を西に進路をとります。 すると”メリディアン アベニュー” と “フットヒル ブルバード” の角に ウィグワムモーテルがあります。 ここも66号線の有名どころです。 

ここからは、沢山の小さな街を結んでサンタモニカへ続くのですが、信号、信号、信号での停止、発進の繰り返しとなるのでクラッチの操作が辛くなります。 カリフォルニアには日本の食文化が浸透していて、吉野家や寿司、ラーメンと言った日本食が手軽に楽しめます。 ここ12日間、ハンバーガーやステーキばかりにならないように、タイ料理やチャイニーズ、ベトナムラーメン、イタリアンやメキシカンといった具合に色々な食事を出来る限り工夫して過ごしましたが、今日ばかりは目の前の”ラーメン”と書かれた”のれん”には、自然と足が引き寄せられてしまいます、、、。 

今回も毎度、寄らせていただいている ラーメン屋さんへ! 最近はアメリカ全土でもラーメンブームで、オクラホマ の田舎町でも”ラーメン” のサインが見られるようになりました。 とはいえ、”なんちゃってラーメン” と言うのもあって、どこでも平均美味しいわけではありません、、、。『なんじゃこれ!〜〜〜』という所もあるので、事前調査は必項です!!   

我々メンバーは、今までのお疲れモードから、水を得た魚のように 元気になります! カツカレーやら、味噌、ピリ辛ラーメンなど瞳を輝かせてオーダー!  音をたてず上品に食べているアメリカ人を横目に、もう、私たちはラーメンをお構いなしに「ズズズ〜〜」と音をたてて食いつきます😅。 アメリカ人ドン引き、、!

現地アメリカ人の知人にいつも言われます、、「どうして日本人は物静かで上品なのに、麺類を食べるときに下品に音を立てるんだぃ!?」 

私は、、日本人は、水や食材全て、そして、それをどのように食べればさらに美味しいのか! 究極を極めるんだよ! と答えます、、。

久しぶりの、日本の味でお腹も満腹です。

そのまま、小さな町を結ぶ 66号線を進み、サンタモニカのピアまで進行します。

 
ピアのゲートをくぐり長い橋桁の向こうにキラキラと光り輝く太平洋が広がります。 駐車場へバイクを止めて”END OF ROUTE 66” のサインがあるポイントへ。 
ヘルメットを脱ぐと、爽やかな、涼しい潮風が頬を撫で、この旅の終了を知らせてくれます。 旅が安全に完了した喜びと、終わってしまった寂しい2つの気持ちが交差します。

 
ルート66号線。完走おめでとう!! 
日に焼かれたそれぞれの黒い顔に満面の笑顔がこぼれます。

シカゴからロサンゼルスまでの2448マイル。  遥か彼方、西海岸ロサンゼルスのはずが、あっと言う間に時が流れてしまいました。



廃線となった66号線は現在もその80%が走行可能な状態で残されています。

人々が豊かな生活を求めて西へ進んだ希望の道66号線。  
そんな人々の思いに、自身を重ねて走りました、、 、
今回も沢山の心暖かな人々に出会いました、、、
そして、もっと66号線が好きになりました、、、。

こうして66号線を走り、自分自身の昨日までのことや、明日からのこと、、、 いろんな気持ちがからまった貴重な12日間、、、  何か、言葉では言い表すことのできない、大切なものを手にしたような気がします。

今走り終わったばかりなのに、また来たい! そう思わせる 66号線「心の旅」でした。


完。


66号線の写真をもっとみたい方はこちら:ルート66写真集:


長々と、66号線のレポートにお付き合いいただいた皆様。 ありがとうございました。

2021年もシカゴ発66号線のツアーを開催予定です。 
66号線は初めてでも、2度目でも3度目でも、何度訪問しても新しい発見がある素晴らしい「心の旅」です。

どうぞ、皆様のご参加、心よりお待ちしています。 

旅のレポーター:Koji. でした。
















- - - - 『ルート66の旅』完。


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